理想のキャッチボール

僕は、目の前にいる人から投げ込まれたボールを
気持ちよい音を立てて受け止められるキャッチャーでありたい。


思い切りよく上に伸び上がったボールも
地面に滅茶苦茶に叩きつけられて、大きな弧を描きながら宙に舞うボールも
ひょろひょろと蚊のように飛んでくるボールも
僕に向かって全力で投げられたボールも
地面を転がされたボールもピッチャーの足元にうずめられたボールも、


その全てをつかんで拾って掘り出してみせたい。




僕はそのボールがどんな形をしていようとキャッチャーミットに収めてみせたい。


縫い目が入っていていかにもキャッチボール向きな硬式野球ボールも
その色合いがやけに目立つ硬式テニスボールも
軽くて、あっちこっちに舞うピンポン球も
投げるには少し大きくて取るのも一苦労なバスケットボールも
小さい割に硬くて重いゴルフボールも
転がすほかないボウリング用ボールも
投げ合うのには適さない、風船も泥ダンゴも雪球もビー玉もパチンコ球も、


その全てをつかみとって、それぞれに見合ったやり方で相手に返したい。


僕はボールの行き来を楽しみたい。

目の前にいる人とのボールのやり取りを、
その人とそのボールに見合った返し方で楽しみたい。
相手が楽しくて僕も楽しいキャッチボールを
いつでもどこでもどんな心でもできたらいいと思う。



僕はよいキャッチャーでありたい。
でもよいピッチャーでもありたい。

ボールを自由自在に放てれば。どんなにいいだろう。



なんて考えさせてくれた月曜日。

合唱練習をした。案外歌えた。
プールに入った。案外泳げない。
席替えをした。案外変化ない。
弱気だった。案外みな弱気だ。
みなできることをやっている。僕もできることをやらなくちゃ。