家にこもって

近所で夏祭りがあった。僕が楽しんだ夏祭り分は花火くらいなもんだ。家から見る花火ってのもなかなか乙だ。しょせん過疎化の進む町村での夏祭りで発射される花火なんてちんけであまり金を掛けられない大きな線香花火なんだけどそれは去年一昨年の僕の認識だ。今日の花火はちょっとばかし激しかった。ひゅーんと飛び上がっていってどーんぱらぱら。ひゅひゅーんと飛んでいってどどーんぱぱらぱら。1、2年前なんかは締めくくりの花火であっても中の下の大きさでとてもとても玉屋だの鍵屋だのカイヤだのサマンサだのとは喜べなかった。今回は少し景気が好くなって中の上くらいのを数発もぶっ放してくれた。炸裂した後宙を舞う火花もずっと輝いていたいのだと主張するように4秒強ほど夜空に白い輪郭を漂わしていた。なんとも粘り強い火薬だった。にくいねえこの野郎。とか書きながら思ってしまう。いつかはあの子とかあの子とかと河川敷で肩を並べて髪をなびかせた彼女の香りを嗅ぎつつ限りある時間を噛み締めたりしながら顔を上向けて火薬玉の炸裂するさまを観察したいなあと叶いもしない可能性を考えてみたりするのだった。

今日の行動範囲。パソコン前。テレビ前。勉強机前。トイレ。風呂。あ、食事を取る机前。いずれも家。これから布団に入ります。