言葉を選んで日記

何も書くことがなくとも、何かを記述し価値を創造するのが日記であるというのなら、やるべきことは決まってくる。素敵な一日を描き出すのに必要最低限な事象のみを日記という文脈の上で連ねるのだ。廃棄できる事象は省き、省略できる文章は削ぎ、飛躍できる思考は飛躍する。読んだ者の心に新しい世界を構築するのが日記書きのお仕事だ。生きうる全ての人間は新たな世界をつづる責を負う。つづる言葉は読み手を躍らせ、織り成す文は異相へいざない、題ある文章は蟲惑なる海を魅せる。美しい日記は美しい世界を見せる。全ては読む者の為。筆者も読み手に過ぎない。言葉が書き手を動かすのだから。