色の話

読み間違いから始まる恋、素敵な響きだと思いませんか。いきなり良く分からない。何を言っているのか分からない。始まらない、少しも始まらない。僕の足元には少しの砂。じりじり言わせて後退するのが好きなんだ。いま読み間違えませんでしたか?じりじりを、何かと。

すごい発見をした。字をじっと見ていたら見つけてしまった。


じり


じっとみていると象さんに見えてきませんか?


じり


にじり寄る象さん。地の果てまでも擦り寄ってきそうな象さん。水色の肌をした巨体の象さん。水を飲みすぎて水色になっちゃったんですう。水大砲で空に打ち上げてあげるから、僕を象の色にして。にじり寄る象さん。僕は逃げた。逃げ切れない。



じり



象さんは僕をどうするつもりなんだ。その鼻で腕を引っ張って、あんなことや、こんなことや、ああ、そんな。むごい、むごいです象さん。いっそ一思いに水大砲で、打ち上げて。僕をあの空の青に近づけて。象さんの水色から離れて僕は空の青へにじり寄るのだ。

ばかーん。
僕は四肢をぶらぶらさせて青に向かって押し出される。象さんの水色から、鼻から噴射された水、そして空の青へ。濃くなっていく色合いにきゃっきゃと喜びながら僕は舞った。